9・10月読んだ本

9・10月読んだ本

 

カラマーゾフの兄弟・下」ドストエフスキー/原卓也訳(再読)

「こころの処方箋」河合隼雄

「岬」中上健次

「樹影譚」丸谷才一

ティファニーで朝食をカポーティ/村上春樹

ロング・グッドバイ」チャンドラー/村上春樹

コンビニ人間村田沙耶香(文藝春秋9月号より)

 

9月の頭に思い立ってスポーツクラブに通い始めて、しばらく行かなくちゃ病だったので、本を読むより身体を動かしていました。体力が無さ過ぎて、あれもこれもができないので、少しだけ時間が惜しいような気持になって、変な感じ。色んなことは永い時間を埋めるためのもになのに。

あと時間のこととは別にまた、本を読むには意識がバラバラと纏まりを欠いていて、目が滑って読み進まなかった。

 

出てすぐに買って放ったらかしていた文藝春秋9月号をやっと手に取り、「コンビニ人間」を読みました。

すごく読み易い、というのがとっかかりの印象で、お話もおもしろかったです。笑えるのに全体的に気味悪くもあって、平易な文章と淡々とした起伏の物語の組み合わせがすごく現代という感じがした。(貧困な語彙!)小川さん以外の選考委員の方々の作風を私はあまり好きではないので、どうかなぁと思ったけれども、よかったです。

古倉さんほどでないにせよ、絶対的に自分は排除「される」側の人間だ、と思って生きてきたので、感情移入してしまいそうなところなのだけれど、当の古倉さんに感情というものがないので貰い受けるものがなく、読み手としてすごく宙ぶらりんにさせられる。そういう感覚と物語が調和していて、いい意味で気持ち悪かった。とはいえどこまでも日常のなかに含まれるいびつさ。日常を歪めてしまう異常さや不思議に回されるお話が好きなので、あまり読まないタイプだけれども、むしろこんなおぞましさを細切れにふんだんに抱えて廻る世界のほうがよほど恐ろしいよねぇとも思う。選考評しか読んでいないので、一般の評価がわかりませんが、私はわりあい好きです。

あと選考評を読んでいて、あひるのお話を読みたいと思いました。