透明な水が、それでも重なりあって、光をさえぎる。眼を持たない魚たち。
通り過ぎていく。
ハロー
触れることでなにがわかる?
蹴り飛ばした相手の顔もわからないのに。

オレンジ色に爛れた陽がしんでゆく。自らを焼いて。
もう痛くない、きらめきさえしないその光を背中にはりつけて、じっと見つめている。砂だけが形を変えてゆく世界。この大きな砂時計、砂が落ちきったらどうなるんだろう。流れ落ちる砂、飲み込まれる記憶。

 


追い払って。
憎しみや嫌悪を、くらい底辺を削いで。
蜜は底に溜まるもの。だけど熟しすぎれば腐ってゆく。
それは時間に腐敗したかつてのわたしなのに
こんなものはわたしには無かったと払い落とそうとする。
だから痛い。
だってわたしだから。

 

みえない。